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果てのない海に呑まれて
第31章 交錯
口元の笑みは変わらぬまま、声がわずかに低くなる
「まさかサラディ家が信用出来ないのかな? それとも僕自身が?
何か身の危険を覚えるようなことでも?」
「……」
レオンは押し黙ったまま静かに腰掛けると、出された蜂蜜酒を一気に飲み干した
「……ハァ」
後ろに控えるルチアーノが、また無茶をと小さくため息を吐く
「……腹の探り合いはやめようか。
もう全て分かってるんだろう」
「そうだね……そう、唯一君のことだけだけが気がかりだったんだ
君は……」
カレルが更に続けようとした時、部屋の扉が小さくノックされた
「どうしたの?」
入って来た男はカレルの耳元に顔を寄せ、何事かを囁く
すると彼は少し驚いたように眉を吊り上げた
「ふぅん…」
「……?」
内心身構えるレオンの前でカレルは何かを受け取るとその男を下がらせた