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果てのない海に呑まれて
第32章 そしてまた一人
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「さてと、どうしてくれようかな」
レオン達が去った後の静けさの中、カレルが未だ放心状態のリリアの前にしゃがんだ
「本気…なのか? 本気で彼女と結婚すると?」
「ああ、これ以上ファルツ家にいいようにされるわけにはいかないからね。それに君たちに対しても効果的な切り札になるだろう?」
企むようにリーを見る
「まぁ形だけの夫婦で良かったんだけど……予想以上の器量だったし、寝所はやはり一緒にしようか」
「……お断りよ」
俯いたまま震える声で呟いたリリアに、カレルはクスリと笑いを零した
「粋がったところで、か弱い女に何が出来る?
もうお前を護る恋人も……」
そして机の裏に向かうと、何かを取り出しリリアの前に放《ホウ》った
ガランガランと大きな音が部屋に響く
「父親もいない」
リリアは目を見開いてそれに擦り寄り、そっと手に取った