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果てのない海に呑まれて
第33章 傍に居たい人
それに苦しみもした
「それに今あの方がここにいるのは私のせいなんです」
「え……?」
一転、暗い表情に変わったブリジッタをリリアは眉を顰めて見つめる
「…申し訳ありません。奥様にお話するようなことでは……」
「いいの、話して。
……私おしゃべりが好きなの」
昔こうして父が話し相手をあてがってくれた
さっき会ったばかりなのに不思議と落ち着く–––
“もしお母様がいたら、こんな風だったのかしら”
歳は少し上なくらいだ
それでもその穏やかな空気はリリアを優しく包み込んでいた
「楽しい話ではありませんよ?」
リリアはそっと頷く
–––一人になるよりはマシだった
かつて全てを失った日、一人眠れぬ長い夜を過ごした
いや、過ごす“はずだった”
だがレオンが無理やり心に押し入り、不安を感じている暇などなくなってしまった
「お願いです……傍にいて下さい」