この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第33章 傍に居たい人
ブリジッタもそんな彼女の心中を察したのかもしれない
何より生まれて初めて求められた喜びが、そこにはあった
「私の家は、ここより西にあるウェッツェルという小さな都市の貴族です。
そして私の伯母はレオン様の弟君、ジェーニオ様の母上です」
「…! そう、だったの……」
二つの家にそんな繋がりがあったとは。
「カレル様はウェッツェル家再興の為に育てられた方です。
もとは身分が低かったけれど、その容姿と才を買われ貴族の称号を与えられ……ゆくゆくはウェッツェル家を後継するはずでした。
でも……あの傷が、彼から母を遠ざけたのです」
美を愛するウェッツェル家の中でも異常なほどそれに執着していた母、タチアナ。
醜い自分が彼女に嫌われるのは当然のことだった
「傷……あの頬の」
顔の左側に残るその大きな傷痕は、一度見たら忘れられない