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果てのない海に呑まれて
第34章 退けない現実
「…オン、レオン!」
「聞こえている。何だ」
四六時中机に向かうレオンに、ミゲルは眉を寄せ大きくため息をついた
いつかの狩りの時とは大違いだ
「朝飯だ。このところほとんど食べていないだろう。それに、少しは寝ろ。体がもたないぞ」
「置いておいてくれ」
そう言いながら顔をあげもしない
脇に目をやれば、冷め切った昨夜の夕食。
「……まだ何かあるのか?」
ドカッと椅子に腰掛けたミゲルにレオンが少し苛立った声を上げた
「お前が食うまでここにいる」
「は?」
「早くしろ。俺はこれから仕事があるんだ」
「ならさっさと行けばいいだろう」
疲れ切った頭ではミゲルの意図を考える気にもなれない
いや–––
”何も考えたくない”が本音か
「死ぬまでそうしているつもりか?」
「……それでもいい。私がいなくなったところでファルツは…”ヴィークの皇帝”はもう揺るがない」
全てあの男の–––”真の皇帝”の指示に従っていれば良い