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果てのない海に呑まれて
第35章 始動
「彼女を逃がしたのは一重に私の愚かさ故。大変申し訳ありませんでした。
しかし、主人が何を以って私を責めないのか……それは分かりません。レオン様の考えは私などには図りかねます」
「…下手な言い訳を……」
カレルは顔を逸らし苛立ったように舌打ちした
「君がレオンの幼い頃からの腹心であることは誰もが知る事実だ。実際僕ももう会って数年になるけれど、君達には主従関係以上のものを感じているよ」
「さぁ……もしその通りであれば、ギスタール家の生き残りなど連れ帰ろうとした時点で止められていると思いますが」
ミゲルはそう言って薄く笑う
「……」
カレルはそれを見て取り、これ以上の追求は無意味だとため息をついた
「まぁいい。でも一度失った信頼は簡単には取り戻せないよ。
次に疑わしい動きがあったら……分かるよね?」
「肝に命じます」
ミゲルは恭しく頭を下げると、追い払われる様にしてカレルの部屋から出て行った
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