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果てのない海に呑まれて
第35章 始動
「ハァ…」
外に出て、ミゲルは深く息を吐く
’一重に私の愚かさ故’–––
その通りだ
何故あの時、あんなにも感情的に行動したのか。
彼女を危機から救う方法なら他にもあっただろうものを。
”あいつの姿は……見えなかったな”
どこかに閉じ込められているのだろうか
ベッドの中で塞ぎ込んでいる姿など、容易に想像がつくのだが–––。
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「何だって?」
カレルは全く予想していなかったことに素っ頓狂な声をあげた
「だから、外に出たいの。この街に住むんだからこの街のことを知っておくのは当然でしょう?」
リリアはベッドで塞ぎ込むどころか自分を捕らえた相手に堂々と要求していた
「……」
流石に呆れてものも言えない
「君、自分の立場が分かってるの?」
「貴方の妻になる女でしょう」
「まぁそれは…そうなんだけど……」
レオンやリーに対する人質だという自覚はないのだろうか
度胸があるのか、あるいはただの馬鹿か
「此処を離れる前もそうやって散策を?」
「いいえ、お父様は滅多に外に出して下さらなかったわ」