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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い
「なるほど……まぁケチュア人の事情に関しては此方の知るところではないがな」
ミゲルは心に芽生えた想いを打ち消すように冷たく言い放つと、表通りの方をちらりと見遣る
「……長話が過ぎたな。
とにかくレオンにはありのままを伝えておく。が、期待はしないことだ」
「……ああ」
そのまま入って来た方とは逆の方向へ、路地裏を進んで行った
「……良かったのか? アイツが密告すれば益々不利になるぞ」
「いや、あの男は来る……必ず」
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「……策略家ではないが相当切れるぞ、あいつ」
一通りレオンに説明を終えたミゲルは、最後にそう付け加えた
「お前が私を危険に晒す真似をするわけがない……つまりリリアを救ったのは私の為であり、それはファルツにとって不利になるはずだから交渉するとしてもファルツではなく私に、ということか」