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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い
蔑んでいたのだ
無知で愚かな娘だと。
それなのに–––。
果ててなお抵抗してくる彼女に興味が湧いた
どれだけ傷付ければ、絶望に突き落とせるのかと。
無駄だった
何度でも立ち上がるリリア
自分とは違う
お前はどこまで自分の運命に抗える?
私を殺してやると豪語していたお前は、実際私を殺したのだ
冷酷無情、慈悲などカケラも持ち合わせていない“赤の魔物”を。
そしてかつての自分を思い出させた
海を見る時の彼女の眸は、忘れようとした憧れを映していて。
汚れていった自分に苦しむ時、彼女はいつもそれを理解し傍にいてくれた