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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い



「チェス? やり方分かるのか?」

「ううん、でも面白そうだから!」



レオンは一瞬考えるも、自分の首に巻き付いたフローラの小さな手を見て首を横に振った



「お前にはまだ早いよ。チェスはすごく難しいゲームなんだ」

「えー…」

「今度フェリペ兄上に教わるんだな」



本当のところ、レオンもついひと月程前に父と兄がやっているのを見て盤を欲しがっただけで、やり方など全く分からなかったのだ



「トランプゲームはどうだ? それならいつもやっているだろう?」

「二人でやっても面白くないじゃない!」



フローラは頬を膨らませプイと外方を向く

しかし、すぐに何かを思い出したように目を見開いた



「ねぇ、どうして兄上はミゲルをお部屋に入れないの?」

「そ、それは……」

「ミゲルも誘いましょ! そしたらもっと楽しくなるわ!」

「フローラ、待っ……!」



レオンが止めるのも聞かずフローラは走って行って廊下へと続く扉を開けた

すぐ外に控えているのであろうミゲルに話し掛ける声がする


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