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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い
「余計なことは言わなくていい。それに、今回は今までと少し違うぞ」
「……? なんですか?」
「賭けをしよう」
「……!」
ミゲルは驚いた表情を見せ、次に顔を顰めた
「側付きと賭けをするなど、カタリナ様やシャルロット様が聞いたら……」
「あんな女達のことはどうでもいい!」
禁句を出されて大声で怒鳴りつけるレオン。
–––廊下に響いたその声が誰にも聞かれていなければ良いが。
ミゲルはそう思い周囲を警戒しながら、言葉を変えた
「私には賭けられるものが何もありません」
「私だってお前から奪い取ろうと思うほど物には執着してない」
レオンは棘のある言い方をしながら更に続けた
「欲しいのは権利だ」
「は……?」
「兄上と、チェスをする権利」
予想外すぎる要求だった
「何も賭けなくても……頼めばフェリペ様はいつでもお相手して下さるかと思いますが」