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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い



「それでは私が遊んでもらっているだけだ! 私はお前が頼まれるように、兄上から頼まれたいんだ!」

「……」



我が儘なお坊ちゃんだ



「…それで、それがどうして私と勝負することになるんです」

「弱かったら兄上の相手にならないだろう。どっちが強いか、ここではっきりさせておくんだよ」



普通に考えればずっと相手をしてきたミゲルの方が強いのだが、レオンの呑み込みの速さは普通ではなかった

昨日今日の成績はミゲルと五分五分。

正直、今更改めて勝負する必要があるのかミゲルには分からなかった



「だから手加減はなしだ。良いな?」

「……はい」



何にせよ、主人の命令に従うのが自分の務め–––。





******************************





「……」

「あの、レオン様……」

「……」



盤上の駒を険しい顔で眺めるレオン。

キングもクイーンも生き残っているし、まだ動かすことは出来る

だが彼には分かっていた



「……クソッ」



このまま続けても、僅かの差でミゲルに勝つことが出来ない

“無駄な足掻き”というやつだ


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