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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い
「それでは私が遊んでもらっているだけだ! 私はお前が頼まれるように、兄上から頼まれたいんだ!」
「……」
我が儘なお坊ちゃんだ
「…それで、それがどうして私と勝負することになるんです」
「弱かったら兄上の相手にならないだろう。どっちが強いか、ここではっきりさせておくんだよ」
普通に考えればずっと相手をしてきたミゲルの方が強いのだが、レオンの呑み込みの速さは普通ではなかった
昨日今日の成績はミゲルと五分五分。
正直、今更改めて勝負する必要があるのかミゲルには分からなかった
「だから手加減はなしだ。良いな?」
「……はい」
何にせよ、主人の命令に従うのが自分の務め–––。
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「……」
「あの、レオン様……」
「……」
盤上の駒を険しい顔で眺めるレオン。
キングもクイーンも生き残っているし、まだ動かすことは出来る
だが彼には分かっていた
「……クソッ」
このまま続けても、僅かの差でミゲルに勝つことが出来ない
“無駄な足掻き”というやつだ