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果てのない海に呑まれて
第36章 迷い



あれだけ執着していた勝負なのだから、自然汚い言葉も出て来る



「私たちの力はほぼ互角です。フェリペ様のお相手は私でなくても充分……」

「うるさい!」



ここでそれに折れたら完全に負けじゃないか

せめて自分で立てた約束くらい守れなくては–––。



「なんですか、大声を上げて見苦しい」



冷ややかな声にレオンはさっと入り口の方を振り返った



「……勝手に入って来ないで下さい。不審者かと疑われますよ」

「そこの側付きが見張りの仕事をさぼっているからです。ま、主人がそうさせているのかもしれませんが」

「申し訳ありません、カタリナ様。これは私の落ち度で……」

「お前は黙っていろ!」



立ち上がりすぐさま相手に諛〈ヘツラ〉おうとするミゲルが腹立たしくて、レオンは再び彼を怒鳴りつける

それがさらにカタリナの胸を踏ん反り返らせることなど意にも介していないようだ


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