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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
「お前が行けばファルツには多大な利益がもたらされます。ひいてはフェリペ様に恩を返すことになる。
ただ仕えているだけでは大した役にも立たぬのだから、その身を捧げてでも主人に忠義を尽くせ」
「……」
「それとも野蛮なお前達は私怨を除くことすら出来ないか」
追い出すだけならいくらでも手はあるだろうに
ここまで説明する辺り、ただ厄介払いしたいというわけでもないらしい–––
「分かりました。荷物をまとめ、明日の朝ここを発ちます」
ミゲルはゆっくりと跪き、カタリナに頭を垂れた–––。
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カタン…
レオンはチェスの駒を弾いた
カタン…
先ほどのゲームで獲ったポーンの小さな音を聞きながら、何処かに逆転の手はないか探している