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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
「代償は大きいですが」
「……」
レオンは眉を顰めミゲルが手にした白のキングを見る
「やはりお前の方が強いな……兄上は私では物足りないだろう」
「いえ、たまたま似たような場面でフェリペ様に負かされたことがあるだけです」
「……!」
苦笑することさえない男
普段と何も変わらない態度
「ですからフェリペ様が帰られたら……」
「ミゲル」
心なしかレオンの声は震えている
「はい」
「明日は早いんだろう」
「そうですね、相手の到着時間にもよりますが」
「もういい……今日は休め」
「……」
ミゲルは一瞬動きを止めたが、すぐに深く頭を下げた
「分かりました。レオン様も早くお休み下さい」
それだけ言い残すと、レオンに背を向け扉の方へと静かに歩いてゆく
「見送りなんてしないからな!」
出て行く直前に掛けられた怒鳴り声にさえ、