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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
「はい、もちろんです」
そう一言、返しただけだった
…パタン
「……くそっ」
レオンは思わず上がった手をチェス盤に向けて苛々と振り下ろした
ばらばらと音を立てて駒が転がり、その幾つかが床に当たって砕けた
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当主ベルナルドとその息子フェリペが邸戻ったのは翌日の昼過ぎだった
「お帰りなさいませ、思ったよりお早いですわね」
「ああ、フェリペの活躍でな。……レオンは?」
「さぁ……今日はまだ見ておりませんが」
義理の息子達ばかり気にかけるのが腹立たしいのか、カタリナの返事は素っ気ない
そんな中、フェリペは父の隣で怪訝そうに辺りを見回していた
いつもは走って迎えに出て来るはずの弟達が、いない
そのことももちろんあるが–––