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第37章 代償

「どのような？」



ベルナルドの言い方はまるで、その見返り次第では妻の独断も許すとも聞こえる



「教皇です」

「何……？」



だがカタリナの答えにベルナルドの顔がｻｯと曇る



「その家はかつて教皇も出したことのある、貴族の中でも名家中の名家。

今の教皇も彼らの後押しでその任に就いたそうですよ」

「……つまり息子と引き換えに教皇との繋がりを約束されたのか？」



硬くなる当主の背後で、ルチアーノが思わず額に手を当てる

だが自分の政治的手腕に酔い痴れたカタリナには気にもならないことだった



「…なんということを……」

「はい？」

「この…大馬鹿者が！」

「……っ！」



主人の怒鳴り声にﾋﾞｸﾘとたじろぐカタリナ。



ウェッツェル家再興の為に新興のファルツ家に嫁いだ

没落しても貴族は貴族。

此方が利用するのと同様に向こうもそれを利用し、その為に妻さえ捨てた男が、初めて自分を咎めている