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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
「どうしてミゲルが去ったのか、私には分からない。でもどんな事情であれ私は彼を取り戻したい。
レオンもそうだろう?」
「……そんなことありません」
レオンはまた不機嫌になっていた
「自分の気持ちに嘘をついちゃだめだよ」
三つの差は–––いや、次期当主との差はこんなにも大きいものだろうか
フェリペには全てが分かっているようだった
「お前が私のことをどれだけ慕っているかは分かっている。私もお前を愛しているよ。それは絶対に変わらない事実だ。
だから嫉妬なんてしないで、もっと素直になるんだ」
ふて腐れていたレオンはただギュッと兄にしがみつく
「それに、ミゲルといて楽しかったからこそ、追いかけたくないんだろう?
でもね、あの子はお前を否定したりしない。ミゲルにとって私たちは唯一の家族だ。だから守ってやる……お前も、ミゲルも」
レオンがゆっくりと手を放した