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果てのない海に呑まれて
第37章 代償



「レオン……?」

「ミゲルを追いかけます」

「…うん。じゃあすぐに……」

「兄上はここで待っていて下さい。必ず連れて帰りますから」



フェリペが驚いて一瞬固まった隙に、レオンは扉の方へと向かう



「西に真っ直ぐ向かえば着くはず……ラオフェンならまだ追いつけますから」

「追いついて…どうやって連れ戻す気だ!? お前一人では何も……」

「守られるのは私たちだけではありません。ミゲルは兄上を護る為にいるのに、兄上が危険に晒されるなんておかしい」



それはお前もだろう、と言いたげな兄にレオンは続けた



「私も兄上が守ろうとするものを守ります……同じファルツ家の一員として」



それだけ言い残し、部屋から走り出て行く

フェリペはそれを止められず–––いや、止めることなく、夕暮れの窓辺に近付き外を見た

広過ぎる海に思わずため息が溢れる



「…レオン様!? レオン様何処へ!」



下が俄かに騒がしくなったかと思うと、何か白いものが飛び出し勢いよく坂を下って行った

あっという間に西の彼方に点となる


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