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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
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レオンがいくら優秀だといっても、それは所詮子供の中の話。
駆けてゆくラオフェンのたてがみの向こうには、なかなか目当ての馬車は現れなかった
“道を外れているのか……?”
レオンの中に不安が過ぎる
だがもう月明かりしか頼りにならない道を迷って立ち止まっている暇はなかった
ただひたすらに海に沿って走り続ける
「……!」
遠くにチラチラと灯りが見えた
ブルル…
レオンは慌ててラオフェンの手綱を引く
どうやら馬車は停まっているらしかった
「シ-ッ…」
一旦ラオフェンから降り、音を立てぬよう宥めながら近づいてゆく
「なぁ、このまま連れて行くのか?」
「当たり前だろ。今更何言ってんだよ」
薄明かりの下で二人の男が話している
誰もいないと思っているのか、その声はかなり大きかった