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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
「このまま売っちまったほうが高くつくだろ」
「バカ、ケチュア人の相場がどんくらいか知らねぇのか?
いくら子供ったって、せいぜいひと月暮らすのに困らない程度だ。けど連れて行きゃ一生もんだぜ?」
何やら言い争っている中に、“ケチュア人”そして“子供”という単語が聞こえた
“やっぱりミゲルはここにいる……!”
レオンは確信した
「いや、向こうになんの利点もないのが気になる。アイツらこのガキ使ってファルツとなんか交渉したんだろ?
これ以上コイツに利点なんかあんのか?」
もしガキだけ取り上げられて、用済みだと放り出されたら–––
いや、最悪口封じとか言って殺される可能性だってある
「……混血だから」
そこに、三人目の声が聞こえた
まだ幼く、だがしっかりしている
「混血だから、珍しいと高く売れるだろう」
売買されるのが自身の体ということを理解していないのかと思うほどに。