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第37章 代償

「知らない…オレたちの知らない言葉だった……」



自分たちの言っていることが突拍子もなさすぎると気付いたのか、信じて貰えないかもしれないと男は若干口籠った



「あれはケチュア語だ！ 少し変だったがオレには分かる！」



もう一人が焦りながらも付け加えた



「アイツは魔術を使ったんだ！」

「バカ、誰か仲間がいたに決まってんだろ……！」



現実味のない話にしたくない相方は慌ててそう囁く



「あのガキにケチュア人の仲間なんていたと思うか？

それにあれは子供の声だった」



“子供……”



「フェリペ様」

「ああ、分かっている。あいつも大胆なことをしたものだな」



付き添いで来ていたルチアーノを振り返ってそう言う

彼は一応護衛兼保護者なのだが、フェリペにはそんなもの必要なさそうだった



「だがこれで交渉の手間が省けた。逆に好都合だったな」

「ええ」



ルチアーノが頷くと、あとは任せると言うように黙ってしまった