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果てのない海に呑まれて
第37章 代償
「貴方は自分が守ると決めたものしか守らない人だ。誰にも縛られない人だ。
ファルツに貴方が守りたいと……」
「分かっているなら何故言わせる!」
レオンがさらに激しくそれを遮り、驚いたラオフェンが嘶いた
「……」
宥めるようにラオフェンを撫でながら、レオンは改めて口を開いた
「お前に守るべき価値を見出した。お前がいなくなったら何となく……つまらないからな」
頑なに横を向き目を背けているのは、年相応の照れ隠しなのだろうか
「レオン様」
「……なんだ」
「お手をお借りしてもよろしいですか?」
「手?」
意味が分からず向き直ったレオンの手に、返事を聞くより先に触れるミゲル
そのままそれを引き寄せ、甲にそっと口付けた
「Tien tod’esm」
「……!」
捧げられたのは、先ほどレオンがうろ覚えで叫んだ言葉だった