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果てのない海に呑まれて
第38章 為すべきことを成せ
そして静かに続ける
「だとしても、どこのどいつがやったかなんて分からない」
サラディ家の雇われ者か、あるいは–––
「……」
だがミゲルにはリーがやったとは思えなかった
「誰だろうと関係ねえよ」
震える声でそう言ったのは、亡くなった船員の兄だった
ミゲルやレオンがまだ幼い子供だった頃から知っている古株だ
「野蛮人を野放しにするからこんなことになるんだ! ケチュア人をここから追い出せ!」
何人かが大きく息を呑んだ
だがそれに共感する者も少なくはない
「そうだ! 全てあいつらのせいだ!」
「この街にいるケチュア人を皆殺しにしろ!」
その声は段々と大きくなってゆく
「……」
ミゲルはただ黙ってそれを聞いていた
リーが仲間を想う理由〈ワケ〉
他者を嫌い、同時に争いを望まない理由
それでも立ち上げらなければならない理由