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果てのない海に呑まれて
第38章 為すべきことを成せ
’お前は下ろしていた方が似合う。その金色が揺れて光を弾いているのがとても綺麗だ’
彼にそう言われるまでは–––
’女は自分に合う格好をするのが一番だ。その髪はとても……良い’
あの無口なミゲルでさえそう言ってくれた
自分は自分らしくあれと、そう教えられた気がする
「ですが今日はどうしても上げて頂かないと……」
「え、何故ですか?」
ブリジッタはそっと目を伏せた
「カレル様がお部屋に……寝所にいらっしゃると」
「……!」
「今朝方、突然そう言われました。大変不機嫌でしたからお気に召さないことがあれば何をされるか……」
それはリリアを想っての言葉だった
愛する夫が親友と共に–––
それがどれほど辛いか、それが分からぬリリアではない
「……わかりました」
自分にできることは何なのか
それを考えながら、リリアはそう答えるのだった–––