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果てのない海に呑まれて
第38章 為すべきことを成せ
小声で話しつつもつい抑えが効かなくなる
リーは人差し指を唇にあてがいながら続けた
「街で殺し合いをするわけにはいかない。ギスタールが襲撃された時、関係ない人々が一体どれだけの被害を被ったか知らないのか?」
「…っ……」
「今回の目的はあくまで彼女の奪還だ。カレルが逆上して我々を追ってくれば上々」
「屋敷に入るだけなら容易い、か……」
確かに計画としては無謀と一蹴出来るものではない
それにこの二人なら何とかなる、と言う気もする
「フ…俺らしくないな」
「互いに”らしく”いようとしたら俺たちはいつまでも相入れないさ」
二人は最後に頷き合うと、大きな賭けへと身を投じることを確認した–––
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「……すまなかった」