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果てのない海に呑まれて
第39章 孤独な口付け
「……」
暫く沈黙が続く
「……」
無理に言わなくてもいい———
リリアがそう言おうとした矢先、カレルが肩に手を回しギュッと彼女を抱き締めた
「……!」
「リーが……」
驚いて僅かに目を見開いたリリアには気付く訳もなく、カレルは続けた
「リーがオレを謀った……」
「……っ」
目がさらに大きくなる
「…そう……」
だがそれも一瞬のことで、直ぐにもとの静かな表情に戻っていた
「……」
何となく、回された腕に手を重ねる
安心感がない———
この人はこんなに小さかっただろうか
肩幅は小さく縮こまりリリアを包みきれていない
抱き締める力は何かにすがるように強く、それでいて怯えていた
"怖いんだ……"
リリアはふとそんなことを思った
彼がどんな人間かはブリジッタを通してしか知らない