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果てのない海に呑まれて
第39章 孤独な口付け
「ブリジッタに何を聞かされた? あ?
オレとの関係か?! オレの生い立ちか!?」
「彼女を責めないで!」
前に回り込み怒鳴りつけられても、リリアはまだ言い返す余裕があった
「それに……置かれて来た状況が不幸だからって、人を不幸にする権利なんてない。
貴方がどんな生い立ちだったとしても、赦されないことがあるのよ」
「……レオンは赦したくせにか」
その名前にハッと小さく息を呑む
「海賊行為を行い、お前の家を陥れたファルツ家の実行犯だぞ」
“え……?”
だがカレルが述べたのは、予想と違う言葉だった
考えてみれば、自分がレオンと結ばれた経緯などこの男が知るはずもない
「待って……陥れたのは貴方でしょう」
「……ハ」
アッハハハハハハ!!
部屋中にカレルの狂気染みた笑い声が響いた
「あの男はオレよりよほどタチが悪い!」
何も知らないリリアが可笑しくて仕方ないらしい