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果てのない海に呑まれて
第40章 冷たい肌



「本当に君は強くなったね……そしてさらに美しくなった」



だがそんな言葉を掛けられたことはなくて、リリアの目が大きく見開かれる

まるで–––



「冷たい……」

「え…?」

「とても冷えているね。ここは寒いから……」



カレルと同じことを言われ、リリアは小さく目を伏せる



「本当は……」



先程までとは打って変わって、途端に声が小さくなる



「本当は、すごく怖くて……」

「そうか…そうだよね……」



リーは慰めるように彼女の頭を撫でる

しかし隣でそれを聞くミゲルの顔は無表情だった



この後に続く言葉を知っているから。



「いつも…レオンが此処にいたらって……彼がいないことがこんなにも心細いと思わなかったの」

「……っ」



リーの手がピタリと止まる

それに合わせてリリアが顔を上げ泣きそうな瞳で続けた



「私本当は強くなんてない。レオンがいるから強くなれるの」

「そ、う……」


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