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果てのない海に呑まれて
第41章 信じるもの
その態度だけで、リリアにとって自分が何なのかが分かる
「リリア……」
「……ん」
小さな呼び掛けに、彼女も小さく返す
だけ。
“俺、は……”
本当に彼女を戦の理由に使ったのか
それとも戦を彼女の理由に使っているのか
「言わなきゃいけないことがある……その為にここに連れてきた」
リーが体を離してそう言うと、リリアも真っ直ぐに見つめてきた
「俺たちと共に行こう」
「え……」
「争いの場を離れ、穏やかに暮らそう。
もうこの戦いは避けられないけど……君を安全なところに逃がすことなら出来る。
そして全てが終わったら……」
最後まで言わなかった
いや、言えなかった
黙って返すリリアの眸を見れば、続けることなど不可能だった
「……レオンが」
その名を口にする時、リーの唇が震える
「君を助けに来るとは限らない。俺はあいつには一度しか会っていないが、分かることもある。
あいつは優しすぎる」