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果てのない海に呑まれて
第41章 信じるもの
「だから……」
せめてこの気持ちだけでも、と口を開いたリーは怪訝そうに眉を寄せた
「リー……?」
「……」
シッと唇に指を当てリリアを黙らせる
先程とは全く違う、厳しい表情
「……」
その目でリーが見やったのは、ケチュア人の仲間がいる方向だった
「あいつら……」
「……?」
リリアも同じ方を向いてみるが変わった様子は見受けられない
だがリーは確実にその不穏な空気を感じ取っていた–––
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「おい、そこの」
「……」
名前は呼ばれずともその言い方で自分だと分かる
「…なんだ」
ミゲルは立ち止まり、何人かの屈強な男たちに返した
二人が出て行ってからすぐのことだ
「食糧運びはどうした? 全てやっておいてくれと言ったよな?」