この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第41章 信じるもの
それは頼むというよりは命令するような口調だった
「…リーに止められた。だから申し訳ないが、手伝えない」
ミゲルの言葉にも、申し訳なさなど感じられない
「そうかそうか……若長は優しいからなぁ」
「俺たちも見習わないとなぁ」
そう言いながら一人がミゲルの肩を小突いた
「……」
「俺たちと同じように出来ないなら、ここから出て行け」
「ギスタール家はオレたちに良くしてくれた。だからあの子には手を出さない」
“手を出すも何も、そんなことしたらリーに殺されるだろう……”
そんなことも分からないのか
ケチュア人はこんなにも直情的だったか?
「だがお前は違う」
「ケチュア人の血が流れていながらオレたちの敵に加担した」
「裏切り者だ」
ミゲルは何も言わず、目を合わせることもなく、ただ小さくため息を吐いた
「…野蛮人……」
「何だと……?」
ケチュア人たちの頬がピクリと引き攣る