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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「クオック…スー……?」
「神の使いとされる真白き馬だ。
その闘いは春ももう終わるという頃だったのに、二つの民族を季節外れの大吹雪が覆い尽くした。
我々の先祖はその中にその姿を見たんだよ」
リーが長老の話を遮らないよう静かに説明してくれる
「様々な試練を神と共にしてきた我々と違い、相手は自然を侮ってきた者たちだ」
長老は語り続ける
「我々は生き残り、敵は死に絶えた。
だが同時に、その場所に芽吹いていた花々は消え、動物たちも苦しんだ。その時から我等は我等を守る神をより一層讃え感謝するようになった」
ウォウッと獣が鳴くような短い賛同が上がった
それを受け長老は小さく微笑む
「神は…自然は偉大だ。その前に我々人間は何も出来ず、また出来るなどと思ってはいけない。
人は大地より生まれ、大地に息づくものを食し、そこから服を作り、やがて大地に還る」
リリアは無意識に足元の地面にそっと触れていた