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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「…待たせたか?」
レオンは馬上からリリアを見下ろしてみせる
いつもと変わらぬ、不敵な笑みで。
「そうね。死んだのかと思ったわ」
リリアは敢えて目を合わすことなくラオフェンを撫でている
「本当、人を心配させる天才よね。あなたのご主人様は」
「それは此方の台詞だ」
頑なに自分の方を向かないリリアを、いい加減にしろと力強い腕が掴む
リリアもリリアで抵抗することなく地面を蹴ってふわりと彼の腕の中に収まっていた
「お前を喪うのではないかと、気が気ではなかったぞ。
……最初に手放そうとしたのは私だかな」
「その通りよ」
沈みかけたレオンの頬を手で挟み、リリアはわざと睨みつけてみせる
「私の帰るべき場所は貴方だって、そう言ったのはそっちじゃない。私はずっと貴方を信じて待ってたわ。
もう…もう二度と、勝手に私を突き放そうとしないで」