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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「なら早く行ってお出迎えしなきゃな」
言いながらゆっくりと歩き、人の波を掻き分けてゆく
「……っ」
そこにはちょうど、此方に立ち止まらんとするレオン達の姿があった
“なんと、神々しい……”
リーでさえ、真っ先にそう思った
陽を受けた白馬は凛々しく、その光を女性の豊かな金髪が照り返す
そして彼女を腕に抱き、威武堂々と前を見据える男は、本当にあのレオンか–––
“これは…敵わないな……”
一発浴びせるどころの話ではない
リーは自分の小ささに思いがけず笑みを浮かべた
やって来たのがただの人間であると–––それも、つい昨日まで敵としてまで見做す者も居たものを、気付いたところで誰も何も言わない
レオンが辺りを見回せば、目の向いた先から静まり返る
「……リー」
「…ああ」
名前を呼ばれ、思わず“はい”と、答えそうになる