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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「リリアのこと、礼を言う」
「……お前の為じゃない」
リーはそう言ってみせたが、レオンは気にすることなく笑った
「リリアの為にすることは全て私の為にすることと同じだ」
「……っ」
言い切ったな
ならせめて
此方もただでは退かぬ–––
「それならリリアは君に返そう……今の君なら彼女を託せる」
彼女を、奪わせはしない
「……確かに承った」
レオンは笑みをそのままに、小さく頭を下げた
そこに皮肉は読み取れない
男同士の、真っ向な気持ちのぶつかり合い–––
「ところで、サラディ家の話だが」
レオンが急に真剣な顔つきになり、周りにも一気に緊張が走る
「我々はここに長居出来ない。カレルの興味が今私にあるからだ。
反対に言えば、私たちがここを離れれば奴らが襲う可能性は減るだろう」
「……」
問うような視線が投げかけられる