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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
リーはゆっくりと仲間を見渡すと、
「いや」
と低くはっきり答えた
「その必要はない。俺たちは俺たちの為に闘う。それこそお前の為ではなく、な」
一瞬だけ、リーの目がリリアに向いた
「だから闘う気がないのなら、彼女を連れて早くここを去れ」
“君が無事に逃れるまで時間稼ぎが出来るなどと…思っては、いないよ……”
彼の中にそんな想いを読み取ったかどうかは分からないが、レオンは何も言わずに頷いた
「……ミゲル、お前はどうする」
ここにきてやっと、側付きに向かって尋ねる
「どうする、とは何だ」
「同胞と過ごして離れがたくはならなかったか?」
いつもの茶化すような質問–––よりはまともなものだとミゲルは感じたが、
「答える義務はないな」
と素っ気なく返していた
「やれやれ、少しは主人の意思を汲み取って二人きりにしてくれても良いものを……」