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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
「レオン、ふざけないで」
わざとらしくため息をついたレオンに、リリアがピシャリと言い放つ
「分かったからそんな怖い顔をするな……。
リー、悪いが馬を一頭貰いたい。どんな荒馬でも構わん。どうせこいつなら乗りこなすだろう」
「どんな道を行く」
リーの質問に、レオンは左後ろを向いた
「…山だ。険しい道は道とは言えず、この時期は深い雪に覆われる……それでも行かなければならない。
ラオフェンは大丈夫だ、慣れている。もともとその辺りの野生馬を飼い慣らしたものだし、毎回シエラには決まった者がそこを通って連れて来るんだ」
力強いその四肢に、ケチュア人たちから響めきが上がった
「なら他に寒さを凌ぐものと、食料も必要だな」
「心遣い感謝する」
リーが一度それらを用意するため消えると、それまで黙って見ていた男たちが恐る恐る近付いてきた
「……この馬に触れても良いか?」
「お、オレも……」
「オレも触りたい!」