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果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
口々にそう言い始めたケチュア人たちにレオンはやや面食らいつつ、
「あ、ああ……別に構わないが」
と許しを出していた
「美しい……」
「素晴らしい馬だ」
「さすがは神の使いだ」
「神の使いだと?」
レオンが怪訝そうに眉を顰めた
「彼らの伝説なの。
遠い昔、吹雪と共に現れ侵略者から自分たちを守ってくれたと。
白い馬……彼らの言葉で、“クオック・スー”」
「クオック…スー……なるほどな」
リリアの説明でようやく先ほど聞こえていた言葉の意味が分かる
「そんな大層な馬に私のような者が乗っていたらさぞ憎いだろうな」
「いいえ、そんなことないわ。だって……」
言いかけて、リリアは口を噤んだ
言葉になんて出来ない
けれど、さっき人々が崇めていたのはラオフェンではなく、紛れもなく貴方–––
「それならば一応は神らしく、一つ予言をしてやろうか」