この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第42章 真白き馬
冗談なのか本気なのか、だが誰もが口を閉ざし次の言葉を待つ
「この闘い、お前達は勝てる……それも、祖先と同じ状況でな」
何人かが息を呑んだ
それは信じられないと疑うものではなく、希望を見出せた歓び–––
「……」
戻ってきたリーはそれを目の当たりにして一瞬立ち止まった
あの男は自分ほど猛々しくはない
だが自分にはないものを持っている
会うもの全てを虜にする魅力–––
そしてそんな男をも虜にしてしまうのだから、この手に負えるはずもない
「……気をつけて行くんだよ」
荷を馬に結びつけ、リーは最後の挨拶を交わした
「貴方も……」
ラオフェンが動き出す
彼が遠ざかってゆく–––
「リー……!」
リリアはたまらずレオンの体から顔を出し叫んだ
「また会いましょう…! 必ず……!」
リーはただ微笑み、応えるように片手を挙げるだけだった–––