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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
「ハァ…ンッ!! ……ヤッ…やぁぁっ!」
嬌声とは明らかに違う叫び声が辺りにこだました
「…っ……落ち着け」
レオンも一瞬驚いた顔をするが、直ぐに指を引き抜いてリリアを慰める
「……ブルルッ」
一同は雪と岩ばかりの獣道に入っていた
人間の脚では到底通れない
凍った岩に滑らないよう飛び越えたラオフェンを、どうして責めることが出来よう–––
「……ちゃんと付いて来いと言ったはずだが?」
「追い付いたのだから文句を言われる筋合いはないっ」
慌てたところをしっかり見られてレオンはミゲルを睨みつける
「フン……リリア、顔が赤いぞ」
「……っ」
言われてますます真っ赤になるリリアだが、すぐに震える声でこう返していた
「レオンが…温めてくれたから……っ」
「……」
ミゲルは呆れてため息も出ない
いつの間にこうもレオンに似て–––食えない女になったのか