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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり



強い風に身震いしたリリアが少し後ろに付くミゲルを振り返ると、平気な顔をしているのは彼だけのようだった



‘何も見えなくなってからでは遅い。あとはラオフェンの記憶と本能に任せよう’



その賢さを信じレオンがそう言って場所を変わったのが一時間ほど前。

馬たちは人間ほど柔ではなく、しっかりと脚を動かして進んでいる



皆体力がどこまで持つか分からないが–––止まったところで死ぬだけだ

進むしかなかった































「レオン、やめたっていいんだよ?」

「……?」



初めて言われた言葉に、レオンは不思議そうな顔をした



「どうしたんですか……突然」



兄らしくもない



「お前はもう十分やったから……あとは、ジェーニオに任せて」



フェリペが指す方向には、まだ幼い大きな瞳で此方を見つめるジェーニオの姿

憧れと、哀しみと–––


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