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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
“ああ、あいつはいつも…あんな顔をしていたのか……”
自分も兄を追いかける余り、見失っていた
「兄上、一緒に遊びましょう?」
「フローラ……」
レオンは何故か妹を見上げ、その眸に笑みを返す
「また……昔みたいに?」
「そう…何もかも忘れ…て……」
何も知らず
ただ楽しかったあの頃
「それでも…それはいつも終わる……」
「もう終わらないよ。永遠に…終わらない……」
真実を語らない兄と
「……ね?」
記憶よりも大人びた妹
“……違う”
終わったっていい
「フローラ!」
母に呼ばれ慌ててジェーニオのところへと戻るフローラも
いつも知らないうちに消えている兄も
もういい
とっくに別れは告げた
彼女と出逢ってから–––
「……ありがとう」
後悔はしない
あの幸せな日々と
それを喪った日々が
今の自分を作った