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果てのない海に呑まれて
第43章 温もり
私はそれを
守っていくだけ–––
「……」
パチパチという音に、レオンは目を覚ました
一枚布の中には相変わらずリリアが自分に身を寄せている
彼女を想って色々考えているうちに、いつの間にか寝入ってしまったらしい
側には暖炉の火が消えかかっていた
「……起きたか」
扉を開け、ミゲルが中に入ってくる
手にはいっぱいの枝が抱えられていた
「ずっと起きていたのか?」
「いや、少しは寝た。オヤジさんたちが見張っていてくれたからな」
ここはファルツの谷–––夏にも訪れた、あの小さな小屋だった
「凍死する前にここを見つけて良かった」
「ああ。今はもうだいぶ晴れたしな」
「そう、か……ならあまりゆっくりはしていられないな」
二日の強行行程で随分引き離したであろうサラディ家も、ここに留まっていては意味がない