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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
狭く薄暗い路地だがここは町だ
誰かいたところで不思議ではない
それでも視線を感じるとなれば話は別だ
「追手、か……?」
様子を伺いつつ、一歩前に進んだ瞬間–––
ヒュッ
「……っ!」
踏み出されたラオフェンの脚近くに、矢が突き刺さる音がした
「リリア、私から手を離すなよ!」
レオンが叫ぶのと、ラオフェンが嘶き立ち上がるのとが同時だった
「…ウッ!」
地面に打ち付けられレオンの息が一瞬止まる
それでもリリアはその胸にしっかり抱き止めていた
「レオン!」
「…ケホッ……大丈夫だ。それより私の後ろに……っ!」
立ち上がりラオフェンを落ち着かせようとする
今度はその背を掠め、矢が通り抜けていった
「くそっ……」
場所は分かるのに。
リリアがいては迂闊に切り込んでもいけない
“今の私に出来ることは……”
リリアを、守ることだけ–––