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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂

今の俺に出来ることは–––
「伏せろ!」
リリアを庇ったレオンの前に、黒い影が立ち塞がった
ヒュウッ
三度〈ミタビ〉放たれた矢は、その者に当たって軌道を変える
「……チッ」
暗闇から複数の足音が去っていく音がする–––
「逃すか……っ!」
ミゲルは素早く腰の短剣を抜くと、一瞬で狙いを定め、投げた
「……グフッ!!」
くぐもった声と何かが倒れる音
“まだだ……!”
蹴り上げられる地面を慎重に聞き分け、二つ目の短剣が宙を裂く
「……」
今度は何の声もしなかったが、ドスッという確かな手応え。
「ミゲル、あと一人いるはずだっ」
「分かってる!」
レオンに怒鳴り返すが、
“剣が足りない……!”
体術は得意ではないが、仕方ない–––
「フ-ッ……」
姿勢を低くし、なるべく相手に力が当たるようにする

