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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「……すまない、身元が分かるものは何もなかった」
戻ってきたミゲルは無表情で嘘をついた
「……」
レオンも、彼が相手を皆殺しにしたことに違和感を覚えながら何も言わない
「このまま夜進み続けるのは危険です。何処かに宿を取りましょう」
「……すぐ近くに教会がある。そこに頼もう」
レオンはルチアーノに答えるように言ってからさらに指示を出した
「どちらか……この死体を処理しておいてくれ」
以上だ、と切り上げ背を向ける
腕の中で声を立てずに泣いている彼女を強く抱き締めて–––
「死体は私が片付けましょう。ミゲル、馬に乗せるのを手伝ってくれ」
「ああ」
「レオン様、ラオフェンをお借りしても……いえ、連れて行ってもよろしいですか。彼は目立ち過ぎます」
「……好きにしろ」