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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
三頭の馬を並べ、淡々と恐ろしい作業が進められていく
「……」
「……」
持ち上げた死体の背に刺さった短剣を見ながら、ルチアーノが沈黙を破った
「……狙いが甘いな」
「違う。殺すつもりで投げたんだ」
最初に敵の姿を認めた、その瞬間から–––
「……」
何の躊躇もなく返したミゲルにルチアーノはまた黙ってしまう
「生かす必要があったか?」
今度はミゲルの方が話し掛ける
「話ならお前から聞けば充分だろう」
「……っ」
「教会で待つ……寄り道せず戻れよ」
短剣を死体の服で拭いて鞘に戻し、ミゲルはレオンと共に去って行った
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「リリア……もう大丈夫だ……」
「…え、え……」
震える唇からは、はっきりと肯定の言葉も出ない