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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
また
また目の前で、人が死ぬ
レオン
前に交わした約束は
まだ、いきている–––?
「奥の部屋を貸してくれるそうだ。急ぐぞ」
文無しの旅人を装い三人は教会へと入ってゆく
「寝台は此方に一つ、隣のお部屋に二人分……どちらも好きにお使い下さい」
「助かります」
互いに一礼すると、相手は出て行く前にふと足を止めた
「そこのお嬢さん」
「え…私……?」
「ええ」
リリアはニッコリと微笑まれて真っ赤な目を戸惑いに揺らす
「彼の者が己の体を失しても己の魂を守ったならば、悲しむことはありません。
誰にもその魂を殺すことは出来なかったのだから」
「たま、しい……?」
「守るべきもの……信念か、誇りか…大切な者か……私には分かりかねますが」
そう言って穏やかな笑みを残し、その人は終に部屋を後にした–––