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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「……」
「……」
「……レオン」
今度の言葉は、真っ直ぐはっきりとしていた
「取り乱してごめんなさい。
……ありがとう」
「あ、ああ……」
慰めたのが自分ではなかったなどと考えてしまうのは、馬鹿馬鹿しいことだろうか
レオンは彼女の笑顔に安堵すると同時に若干子供染みた自分に心の中で舌打ちする
「ミゲルも、護ってくれて……」
「……?」
途中で言葉を切ると、リリアはミゲルをまじまじと見つめる
彼の眉はグッと中心に寄せられていた
「……顔色が悪いわ」
「何……?」
レオンも同じように覗き込んできて、ミゲルはやめろと腕を振る
「別に何も……」
「怪我をしているな」
裂けた服と滲んだ鮮血を、主人〈アルジ〉は見逃さなかった
「ミゲル…っ……痛むの?」
「大したことないっ……手当も自分で出来る」
「ならさっさとやって来い」